メガネ

めがねの声

(2016年8月1日 153号より)

どうして!? 殺されていいの

相模原の「津久井やまゆり園」で悲しい事件がありました。
夜中みんなで寝ている時間に、障害者たちが元職員だった人にナイフで首や胸を刺されて亡くなりました。職員たちは、先に動けないように縛られて、障害者だけが19人も殺されたり、他にもたくさんの人が刺されてけがをしました。
職員も、障害者も同じ人間なのにどうして重い障害者だけが殺されたのか....。
重度の障害者は、犯人にとって面白くない人だったのかもしれない。介助をしていても楽しいのかどうかもわからないし、生きていても仕方ないから殺してもいい人たちだと思って刺したのでしょうか。
麻のテレビのニュースで、犯人が笑っているのが映りました。
私は「ばかもの!!」と思いました。

*  *  *

私のグループホームや「しもだ」の仲間たちは、同じように重度重複の障害者たちです。知らない人たちが見ると、何も分かっていないように思えるかもしれません。考えていることもないか、生きている喜びもないかと見えるかもしれないのですが、でも、皆さんと同じです。
ただ、顔や、声や、話に表すことが下手なだけです。
よく聞こえるし、よいにおいも解るし、歌を聞いても悲しい歌や、嫌いな歌だと泣いたりもします。

*  *  *

私の小さい時、絵を教えていただいた先生は、筋ジストロフィーですが、だんだん障害が重くなって、その上いろいろな病気もあります。
それでも幼稚園で教えていますし、何度も入院を繰り返しても、退院して帰ってはまた出掛けていきます。私はちいさい時から今まで、ずっと励ましていただいていて、今も先生のことを思うと頑張ろうと思うのです。
この前ひさしぶりに会った時は、のどに呼吸器を付けていてお話もできなくなっていました。私は涙が出そうになりました。
もちろん、手も足も動かせないし、全て思うようにいかないと思います。
私も、手も足も言葉も不自由だし、文を読むのも書くのも人に手伝ってもらわなければならないし、大変な人を「手伝ってあげられたら...」と思うけれどできません。
でも、いろいろな人に助けられて毎日過ごしているのは嬉しいし、感謝しています。“明るく楽しい”ばかりではありませんが、これが私の普通の生活なのです。

*  *  *

今度の事件はことは、テレビを見たり新聞やいろいろ書いてあるものを、家で母に読んでもらっています。“奥が深いのよ”と言います。

« 前へ次へ »